戸建ての購入では、物件探しや住宅ローンの借入など初めての経験が多く、難しいと感じることが多いでしょう。また、重要な契約などもあるため、失敗すると簡単には取り返しがつきません。注意点を知らずに戸建て購入をおこなうのはリスクがあります。
そこで本記事は、戸建ての購入について17の注意点や新築・中古の戸建て購入のメリット・デメリット、引渡しまでの流れを解説します。戸建ての購入はスムーズに手続きが進んでも数ヵ月はかかる可能性が高いです。注意点が多いですが不安を解消するためにも、ぜひ参考にしてください。
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名前 | Nさん |
物件種別 | 建売住宅 | |
物件エリア | 神奈川県横浜市 | |
査定時期 | 2021年6月 |
※当メディアでは、ユーザーの生の声をお届けするために、商品・サービスの利用者に直接取材を行っています。
編集部
目次
- 1 戸建て購入で注意するポイント17点
- 1.1 購入費用の内訳を細かく確認する
- 1.2 金利だけで住宅ローンは選ばない
- 1.3 建物を隅々までよく確認する
- 1.4 点検口があることを確認する
- 1.5 戸建て売却が得意な不動産会社を選ぶ
- 1.6 住宅の優先順位を明確にする
- 1.7 将来のことも考えて土地や住まいを決める
- 1.8 ハザードマップの確認をする
- 1.9 周辺環境の確認をする
- 1.10 近隣の施設を確認する
- 1.11 ホームインスペクションを実施する
- 1.12 未完成の状態では引渡しをおこなわない
- 1.13 中古住宅の購入では売り出された理由を確認する
- 1.14 住宅ローン減税が適用されるか確認する
- 1.15 売買契約締結後のキャンセルで手付金は返金されない
- 1.16 引渡し前の内覧に注意
- 1.17 重要事項説明で疑問に思うことは解消する
- 2 【新築・中古別】戸建て購入のメリット
- 3 【新築・中古別】戸建て購入のデメリット
- 4 戸建てを購入する流れ
- 5 【建売購入経験者にインタビュー】実態について聞いてみた
- 6 まとめ
戸建て購入で注意するポイント17点
戸建ての購入における注意点は次の17点です。
- 購入費用の内訳を細かく確認する
- 金利だけで住宅ローンは選ばない
- 建物を隅々までよく確認する
- 点検口があることを確認する
- 戸建て売却が得意な不動産会社を選ぶ
- 住宅の優先順位を明確にする
- 将来のことも考えて土地や住まいを決める
- ハザードマップの確認をする
- 周辺環境の確認をする
- 近隣の施設を確認する
- ホームインスペクションを実施する
- 未完成の状態では引渡しをおこなわない
- 中古住宅の購入は売り出された理由を確認する
- 住宅ローン減税が適用されるか確認する
- 売買契約締結後のキャンセルでは手付金は返金されない
- 引渡し前の内覧に注意
- 重要事項説明で疑問に思うことは解消する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
購入費用の内訳を細かく確認する
売りに出されている物件の中には最低限の設備しかなく、快適に暮らすためには、オプションで別途工事が必要になるケースがあります。購入費用の内訳まで確認していないと、追加の出費で予算オーバーとなるかもしれません。
また、引渡しまでの手続きや購入後の維持にも費用はかかるため、総額を把握しておきましょう。
物件の価格以外にかかる費用には、次のようなものがあります。
オプションの例 | 手続き | 維持 |
・カーテンレール ・テレビアンテナ ・物干し ・エアコン取り付けの穴あけ ・網戸 ・照明 ・フロアコーティング ・カーポート ・フェンス |
・仲介手数料 ・登録免許税 ・印紙税 ・住宅ローンの事務手数料 ・不動産取得税 ・引越し費用 |
・固定資産税 ・都市計画税 ・火災や地震の保険 ・修繕費 |
金利だけで住宅ローンは選ばない
戸建ての購入で住宅ローンを利用する場合は、できるだけ金利が低いところを利用したいと考えるのが一般的です。しかし今の金利の低さだけで住宅ローンを組むと、将来の返済で苦労をする可能性があります。
まずは住宅ローンの金利の種類について知っておきましょう。
種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
変動金利 | 金利は半年ごとに見直し | 2023年現在は他より金利が低い | 将来金利が上昇するリスク |
全期間固定 | 完済まで金利は固定 | 計画的に返済が可能 | 金利は他より高い |
固定金利選択 | 一定期間の金利は固定。終了後に再度固定か変動かを選択 | 自身の都合に合わせて返済計画を変更可能 | 固定期間が長いと金利が高くなる傾向 |
例えば、現在の金利が低いからと変動金利で返済がギリギリの住宅ローンを組んでしまうと、将来金利が上昇した際に返済で苦労してしまう可能性があります。変動金利は現時点での金利が低くても、将来どうなるかはわからないということを頭に入れておきましょう。
また、金利が低くても住宅ローンの審査に落ちると利用はできません。各種の手数料が高額だと、トータルの負担額では損をしていることもあります。できるだけ具体的な数字で完済までのシミュレーションをして、無理のない返済ができる住宅ローンを選びましょう。
関連記事:住宅ローンはどこに相談すべき?相談窓口の種類と相談する際の注意点
建物を隅々までよく確認する
新築でも中古でも、物件選びの内覧で隅々まで確認していないと、住み始めてから不具合が発覚するかもしれません。新築でも完成から期間が経過していれば劣化は進みます。内覧では次の点に注意してください。
- 屋根・外壁・基礎部分にひび割れ
- 建具の建て付け
- 室内の床や壁の傷・ひび割れ・汚れ
- 水回りの漏れ
- すきま風
- 設備の動作
- 部屋や外構の寸法
- 境界
1件1件の確認に時間はかかりますが、自分自身で納得できるまでチェックするのがおすすめです。
点検口があることを確認する
点検口とは、天井裏や床下を確認するための開口部です。点検口がなければメンテナンスの際に十分な確認がおこなえず、事態が深刻化するまで不具合に気づけないかもしれません。
リフォームされた中古物件の中には、点検口が塞がれているケースがあります。そのような物件を購入予定の場合は、売り主に設置を依頼するなど、何らかの対処をおこないましょう。
戸建て売却が得意な不動産会社を選ぶ
不動産会社は、中古マンションの売却実績が豊富なところもあれば、建売の売却実績が多いところもあり、取り扱い物件の得意分野はさまざまです。
戸建ての売却が得意なところであれば、優良な物件に出会える確率が高まるでしょう。販売実績や取り扱い物件については、不動産会社の公式サイトを確認しましょう。
住宅の優先順位を明確にする
駅から近い物件がいい、リビングや水回りが1階の物件にしたい、広い庭つきのマイホームが憧れなど、住宅に求める条件は人によってさまざまです。しかし、すべての条件を満たす物件が見つかるとはかぎりません。
希望に明確な優先順位をつけていないと、予算オーバーになったり、予定している時期までに入居はできなかったりする可能性も高いです。
優先順位を付ける際は、一緒に住む家族全員で話し合ってください。一人の独断で決めてしまうと、他の人は我慢して住み続けることになってしまいます。
将来のことも考えて土地や住まいを決める
購入した戸建ては、メンテナンスをしていれば何十年も住み続けられます。老後も住むつもりであれば、現在は利便性がよい立地でも、将来的に生活に困ることがないかまで考えて土地や住まいを決めましょう。
例えば、これから出産の予定がある家庭では、子育てしやすい間取りなのか、近くに子育て関連の施設はあるか、学校までの通学路や治安はいいか、などについて考えてみてください。
購入してからのライフイベントや世帯人数を具体的にイメージして、立地や住まいの間取りを選びましょう。
関連記事:土地を安く買う10の方法を徹底解説!土地探しから税金対策まで
関連記事:土地の価格の調べ方とは?目的別のおすすめ手法や計算式を紹介
ハザードマップの確認をする
日本は自然災害の多い国です。地震や土砂災害、津波、洪水などで購入する戸建てに被害が出るかもしれません。各自治体が情報発信しているハザードマップを確認しておくと、どの地域であれば自然災害のリスクが低いのかがわかります。土地選びの際は、最新のハザードマップで自然災害のリスクが低い地域を確認しておくとよいでしょう。
災害に関しては、戸建てにかけられる保険をさまざまな会社が提供しています。加入すればもしもの備えになりますが、保険料の負担も増えます。
周辺環境の確認をする
住みだしてから自身には合わないと思っても手遅れのため、周辺環境の確認をしましょう。確認するべきポイントには次のようなものがあります。
- 騒音
- 振動
- ニオイ
- 日当たり
- 風通し
- 治安
- 道路の幅
実際に現地にいってみないと、写真や地図アプリだけではわからないことも多いです。可能ならば時間帯を変えて複数回現地を見学しておくと、周辺環境について詳しく知ることができます。
近隣の施設を確認する
これから購入した戸建てで快適に生活をするため、近隣施設の確認もしてください。次のような施設が近隣にあると、生活に便利です。
- 交通機関(電車・バス)
- 商業施設(スーパー・コンビニ)
- 病院
- 役所
- 銀行・郵便局
- 教育・保育施設(児童館・保育所・学校)
- 公園
近隣施設が整っているエリアほど人気があり価格は高額になりやすいです。住宅の優先順位を決める際に、どういった施設が近隣に必須なのかを話し合っておきましょう。
ホームインスペクションを実施する
ホームインスペクションとは、建築士が住宅の劣化や欠陥の状態チェックをおこなうことです。中古の戸建てでは、内覧では判断できない欠陥が隠れていることがあるため、購入前にホームインスペクションを実施することをおすすめします。
ホームインスペクションを自分で依頼すると5万円程度かかります。しかし診断の結果は購入の判断材料になるため、中古物件の売り主や建売を取り扱う不動産会社が負担してくれる可能性があります。購入を決めている物件であれば、交渉して支払ってもらい、発覚した劣化や欠陥は値引き交渉に活用しましょう。
未完成の状態では引渡しをおこなわない
注文住宅や建売で、まだ住宅が未完成なのに代金の支払いと引渡しをしてしまうと、トラブルに発展する可能性があるため注意してください。例えば、建物が完成する前に売主や施工会社が倒産して完成の見通しが立たない、補修が必要なのに受け付けてもらえない、といったトラブルが考えられます。
引渡しは必ず完成してからおこないましょう。支払うタイミングや額の目安を一覧にまとめたので参考にしてください。
建売・中古 | 注文住宅 | ||
タイミング | 支払い額 | タイミング | 支払い額 |
売買契約時 | 価格の5~20% | 売買契約時 | 価格の10% |
着工時 | 価格の30% | ||
引渡し時 | 残額 | 上棟時 | 価格の30% |
引渡し時 | 価格の30% |
売買契約時に高額な支払いを求められる場合は、問題のある不動産会社である可能性もあるため、不動産会社を再度検討することをおすすめします。
中古住宅の購入では売り出された理由を確認する
売りに出された理由を知らないと、次のようなトラブル・問題が起きる可能性があります。
- 近隣住民にトラブルをおこす人がいて住みにくい
- 近隣に建築予定の建物のせいで将来的に日当たりや景観が悪くなる
- 頻繁にシロアリの被害がおきる
理由が転勤や離婚などで、住みやすさに関係ないものだと問題はありません。ただし、周辺の相場より格安な場合は特に注意してください。不動産会社の担当者や売り主から本当の理由を探ってみましょう。
住宅ローン減税が適用されるか確認する
住宅ローン減税は、次のような戸建てだと適用されません。
- 住宅ローンの借入期間が10年未満
- 引渡しや工事完了から6ヵ月以内に入居しない
- 確定申告をしない
控除期間は2023年時点で最大13年間、借入限度額は5,000万円です。適用の条件や控除額は、都度改正されています。住宅ローン減税の制度は国土交通省が管轄していますので、購入を予定している年度の最新情報を公式サイトでチェックしましょう。
売買契約締結後のキャンセルで手付金は返金されない
不動産会社や買い主と売買契約を締結すると、法的拘束力が働くため簡単にキャンセルできません。自己都合でのキャンセルは、違約金として手付金の放棄を求められます。いくら違約金を支払うのかは売買契約書に記載されているので、確認は必須です。
契約に住宅ローン特約というものを入れていると、住宅ローンの審査に通らなかった際に違約金等の負担をすることなく、手付金が返還され、無条件で契約を解除することができます。
引渡し前の内覧に注意
物件探しのときに内覧をした場合でも、引渡し前に再度きちんと内覧をおこないましょう。引渡し前の内覧を適当に済ませてしまうと、あとから住宅の不具合が見つかる可能性があります。引き渡し後の修繕は基本的には自己負担です。
自分で内覧をおこなう自信がない場合は、専門家による内覧の同行サービスを利用してもよいでしょう。プロに内覧同行を依頼すると費用がかかりますが、あとで深刻な不具合が見つかると、さらに修繕費用がかかる場合もあります。不安な人は内覧の同行サービスの利用を検討してみてください。
重要事項説明で疑問に思うことは解消する
戸建てに限らず不動産の購入では、宅地建物取引士が買い主に対して重要事項説明書の説明をおこなうことが法律で決まっています。売買契約を締結する前に説明があるため、わからない部分があれば遠慮せずに聞いて疑問を解消してからサインをしましょう。
納得できない内容であれば契約破棄も検討してください。この段階であれば、手付金の返金に対応してもらえます。
【新築・中古別】戸建て購入のメリット
注文住宅やマンションの購入と比較した際の戸建てを購入するメリットは以下のとおりです。新築と中古に共通するメリットと、新築と中古それぞれのメリットに分けて記載しています。
新築(建売) | 中古 |
・現物を確認してから購入可能 ・建物が経年劣化しても土地部分の資産価値は残る ・マンションと違い管理費・修繕積立金・駐車場代の負担はなし ・プライバシーの確保 ・リフォーム・リノベーション・増築も可能 |
|
・短期間で入居が可能 | ・新築より割安 |
新築建売の場合は短期間で入居が可能ですが、期間としては住宅ローンの審査込みで早くて1ヵ月程度でしょう。
また、中古の戸建てでは、新築と比べて価格の安さがメリットです。地方では空き家が増えて問題視されていることもあり、格安の中古物件も豊富です。
【新築・中古別】戸建て購入のデメリット
戸建てを購入するデメリットは、上記と同様に新築と中古で次のようになっています。
新築(建売) | 中古 |
・外構も含めて管理は自己責任 ・耐用年数が低い ・マンションより好立地の物件は見つかりにくい ・防犯のリスク ・断熱性・気密性の低さ |
|
・郊外の立地が多い傾向 ・似た建物が多い |
・不具合がおきやすい ・住宅ローンで担保としての評価が低い |
マンションと比較すると、木造と鉄筋の構造の違いから耐用年数や性能の低さがデメリットとしてあげられます。また、マンションのように管理費・修繕費など毎月の出費はありませんが、自分で積み立てて大規模な修繕に備える必要があります。
戸建ての場合は、駅の近くなど好立地のものが少なく郊外の立地が多いのもデメリットとしてあげられます。また、分譲だと近隣に似たデザインの戸建てが並び、外観で個性を出しにくい点をデメリットに感じる人もいるかもしれません。
中古の戸建ては経年劣化の影響を避けられず、数年で修繕や設備の交換が必要になるかもしれません。担保の評価の低さは住宅ローンの審査に関わり、高額な借入だと落ちる可能性が高まります。また、1950年以前に建てられた戸建てでは、現在の建築基準法や都市計画法で建て替え不可になっているケースがあります。
戸建てを購入する流れ
注意点を把握できたら、実際に戸建て購入の流れもチェックしておきましょう。新築・中古・注文住宅の3パターンで、それぞれの流れを解説していきます。
新築戸建て購入の流れ
新築戸建ての場合は、次の6ステップです。
- 新築建売住宅の物件探し
- 物件の見学
- 購入の申込み
- 住宅ローンの申込み
- 売買契約
- 引渡し・決済
物件探しに時間がかかりやすく、3ヵ月以上はかかると考えておきましょう。未完成の場合はさらに期間が必要です。事前に通信工事や家具の手配を済ませておくと、スムーズに新生活を始められます。
関連記事:【初めての人必見】住宅購入の流れ10ステップを徹底解説!
中古戸建て購入の流れ
中古戸建て購入の流れは次の7ステップです。
- 中古戸建て物件探し
- 物件の見学
- 購入の申込み
- 住宅ローンの申込み
- 売買契約
- 必要であればリフォーム・リノベーション
- 引渡し・決済
リフォームやリノベーションは、全体でおこなうと3~5ヵ月、部分的なもので数日かかります。また、売買契約の段階でまだ入居者がいると、引渡しは引越しをしてくれるまで待たなければいけません。
好条件の中古戸建ては、すぐに問い合せをしないと売れてしまい、分譲の新築より似た条件の物件を探すのは困難です。中古戸建ての購入では、早めの決断が重要になります。
注文住宅購入の流れ
注文住宅を購入する場合は8ステップで、1年以上かかるかもしれません。
- 業者に依頼して土地探し
- ハウスメーカーや工務店の厳選
- 土地の購入申込み・売買契約の締結
- 見積もり
- 建築の請負契約
- 詳細なプラン作り
- 着工
- 竣工・引渡し
土地によって実現可能な住宅のプランは大きく変わります。実現したいマイホームの条件について家族で話し合い、譲れない条件や優先順位についても決めておきましょう。
プラン作りは、担当者の提案も真摯に受け止めてください。希望の形を実現できても住みにくくては不満の残るマイホームとなってしまいます。
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【建売購入経験者にインタビュー】実態について聞いてみた
注文住宅や賃貸住宅等がある中で、今回建売住宅を購入された理由について教えてください。





どのような点を重視して物件を選びましたか?



建売住宅は不動産会社から購入された形でしょうか?





まとめ
戸建ての購入にはさまざまな注意点があり、失敗のリスクを下げるためには事前の把握が重要です。引渡しまで何ヵ月もかかり、慣れない手続きが続いていると見落としはおきやすくなります。気になることは不動産会社の担当者にも相談しながら進めましょう。
また、同じ戸建てでも新築と中古で、メリット・デメリットに違いがあります。相談をする不動産会社選びにも関係するので、家族と話し合い納得できるマイホームの形を見つけてください。
戸建て購入の際の注意点は、ウスイホームのサイトも参考にしてみてください。