土地を購入するときは、土地代に加えて税金や手数料などの諸費用が必要です。土地の購入後も、活用するために整地をしたり建物を建てたりとコストがかかります。初期費用を抑えるために、土地の購入費用をできるだけ安くしたいという人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、安く購入できる土地を探す方法や土地を安く買うための交渉方法を10パターン紹介します。土地の購入にかかる費用を節約する方法や土地を安く購入するための疑問についても解説しているので、土地を安く購入したい人はぜひ参考にしてください。
安く買える土地を探す7つの方法
探し方を変えることで、安い土地を見つけられる可能性があります。安く買える土地を見つける方法は、次の7パターンです。
- 立地を妥協する
- 古家付きの土地から探す
- 不整形地から探す
- 売れ残っている分譲地から探す
- 空き家バンクで土地を検索
- 競売で出品中の土地から探す
- 土地所有者に打診
安く変える土地探しの方法を、詳しくチェックしていきましょう。
立地を妥協
駅から徒歩5分以内や南向きで日当たりがよいなど、立地条件の優れている土地は価格が高い傾向にあります。自分が妥協できる範囲で土地の希望条件を見直してみましょう。立地を駅から遠い範囲に変更すれば、坪単価が10万円以上安くなるケースもあります。価格が安くなりやすい立地の特徴は次のとおりです。
- 周辺の人口が減少している
- 近隣に商業施設がない
- 首都圏以外の地方
- 学校から遠い
利便性の悪いエリアは不人気なので、安く購入できる可能性があります。人口の減少も人気の目安になります。老後に落ち着いた静かなエリアで暮らしたいなら、都会の喧騒から離れた郊外のエリアを選ぶのもありでしょう。土地の値段を少しでも下げるために、立地の希望条件の優先順位を決めることが大切です。
古家付きの土地から探す
老朽化した古家付きの土地は、解体費用が必要なため周囲の土地相場よりも価格が低く抑えられているケースが多いです。古家付きの土地の購入には価格の安さ以外のメリットもあります。
古家付きの土地を購入するメリット |
・購入費用を安く抑えられる ・新居を建てた場合のイメージがしやすい ・リフォームできる場合は建築費が抑えられる |
古家を解体する場合は、木造の場合で1坪あたり4〜5万円の解体費用が必要になると考えておきましょう。建物の状態が良好であれば、リフォームやリノベーションを実施して解体費用と建築費用を削減することもできます。最初から家が建っているので、日当たりや窓の配置をイメージできるのも古家付きの土地を購入するメリットの一つです。
不整形地から探す
長方形や正方形のような整形地と比較すると、土地の形が整っていない不整形地は家を建てにくいため安い価格になりやすいです。一般的には次のような土地が不整形地と判断されます。
- 旗竿地
- 傾斜地
- 三角地
- 台形地
- 多角地
旗竿地は入り口の部分だけが旗を持つ部分のように細い形をしているため、土地の価格が下がりやすいです。土地の周囲が住宅に囲まれている場合は日当たりが悪くなるため、土地の価格が通常よりも安くなりやすいでしょう。土地に高低差がある傾斜地も、価格は安くなる傾向です。三角地や台形地、多角地は角の部分まで利用できないので相場と比較すると価値は高くありません。
売れ残っている分譲地から探す
分譲地で売れ残りの区画が発生している場合は、販売価格の値下げや交渉による値下げが期待できます。分譲地で売れ残りやすい土地の特徴は、次のとおりです。
- 面積が大きすぎるまたは小さすぎる
- 価格設定が相場よりも高すぎる
- 土地に問題がある
- 売れた順番が悪かった
- 建築条件がついている
- 心理的な要因がある
このように分譲地で売れ残りが発生する原因はさまざまですが、売れ残っている土地のなかにも自分の希望を満たしてくれる土地があるかもしれません。売り出し開始から半年以上経過している場合は、安値で購入できる可能性が高いです。売れ残っている理由をチェックした上で、特に問題がなければお得に土地が購入できるでしょう。
空き家バンクで土地を検索
空き家バンクで土地や古家付きの土地を検索すれば、格安で購入できる土地が見つかる可能性が高いです。空き家バンクとは空き家を購入したい人と売却したい人をマッチングさせてくれるサービスのことで、自治体などの公的機関が運営しています。買い手が見つからない不要な物件が空き家バンクに登録されるため、価格が相場よりも安く設定されているケースが多いです。
競売で出品中の土地から探す
競売にかけられている土地は市場価格の7割程度の価格で購入することが可能です。以前の所有者がローンを滞納したことが原因で競売に出品されているため、土地が問題を抱えているわけではありません。競売にかけられている土地はインターネットで公開されているので、掘り出し物がないか定期的にチェックしておきましょう。
ただし、競売物件の購入にはリスクもあります。競売物件には引き渡し義務がないため、前の所有者が不法に占拠している可能性も否定できません。土地の見学も制限されているため、提示された情報のみで購入を決める必要があります。入札後は取り消しができないので、よく考えて購入を決めてください。
土地所有者に打診
長期間放置されている土地がある場合は、所有者に交渉することで土地を安く購入できる可能性があります。土地の所有者と面識がない場合は難しいですが、知り合いや近所で顔見知りである場合なら、交渉してみる価値があるでしょう。
土地所有者のなかには、田舎だから売れると思わず放置している、売却の手続きが面倒で放置している、自宅の隣地のため全く知らない人が購入するのを避けたくて仲介依頼していないなどが理由で、土地を放置している場合もあります。
交渉で土地を安く買う3つの方法
土地を安く購入するためには価格交渉のテクニックが必要となります。土地を安く購入するための交渉のポイントは、次のとおりです。
- 相場を根拠にする
- 土地を買う時期を変える
- 優良な不動産会社に依頼する
価格交渉のコツを詳しくチェックしていきましょう。
相場を根拠にする
土地の値引き交渉をおこなう場合、値引きの相場は相場価格の10〜20%程度といわれています。これ以上値引きするのは難しいので、値引きの相場を意識しながら交渉を進めてください。
また、値引き交渉は購入前提でおこなうのが鉄則です。また、売主と直接値引き交渉するのはNGです。仲介を依頼した不動産会社の担当者を介しながら値下げ交渉を進めていきます。
土地の相場の調べ方
土地の相場の調べ方は大きく分けて7パターンあります。土地の相場を調べる方法ごとの特徴は、下記の表にまとめたので確認してください。
土地の相場の調べ方 | 特徴 |
---|---|
不動産ポータルサイト | ・インターネットでアクセスするだけで検索できる ・誰でも自由に利用できる |
実勢価格 | ・土地情報総合システムにアクセスして検索できる ・最新相場や価格の推移を確認できる |
レインズマーケットインフォメーション | ・不動産会社向けのサイト ・土地だけの価格は調べられない(古家付きの土地を探している人向き) |
路線価 | ・国税庁が運営する財産評価基準書路線価図・評価倍率表を用いる ・国税庁が毎年7月1日に発表する |
公示価格 | ・土地情報総合システムにアクセスして検索できる ・実勢価格の9割程度の価格 |
固定資産税評価額 | ・固定資産税の納税通知書で確認できる ・3年に1回更新される |
不動産会社に査定を依頼 | ・査定は無料 ・机上査定と訪問査定の2通りがある |
相場の調べ方の中には、売主や不動産会社しか使えない方法もあります。土地の相場価格を把握して、購入を有利に進めましょう。
関連記事:土地の価格の調べ方とは?目的別のおすすめ手法や計算式を紹介
土地を買う時期を変える
土地は転勤が多くなる2〜3月、9〜10月に売れやすくなるため、繁忙期のタイミングで交渉しても売主が値下げに応じてくれる可能性は低いです。逆に購入者が減る時期を狙って交渉すれば、早く売却してしまいたいという心理が働くため値下げ交渉が成功しやすくなるでしょう。
繁忙期ではなく閉散期に交渉をかけるのがおすすめです。価格の交渉をする時期によって成功確率が変動することを理解しておきましょう。
優良な不動産会社に依頼する
売主と直接交渉をするのは不動産会社のため、値下げに応じてもらえるかは不動産会社の実力次第です。土地を購入するときは、心から信頼できる不動産会社に仲介を依頼してください。優良な不動産会社かどうかを見分けるポイントは、次のとおりです。
- 土地の売却や購入実績が多い
- 免許の更新回数が多い
- 口コミで悪い評価が少ない
- 店内が清潔に保たれている
売買実績や宅地建物取引業の免許番号は、各不動産会社の公式サイトから確認できます。
不動産会社の特徴だけではなく実施に在籍している担当者の様子もチェックしてください。担当者によって接客力や対応力が異なります。顧客の意見を親身に聞いてくれる担当者がいる不動産会社を選びましょう。
信頼できる不動産会社選びなら不動産一括査定サイトの利用がおすすめ!
多くの不動産会社があるため、どこに依頼すればよいか迷ってしまいます。適当に選ぶと悪質な業者を選んで損をしてしまう可能性もあるため、不動産会社選びは慎重におこないましょう。
信頼できる不動産会社を見つけるためには、複数社に査定依頼をおこない、実際に担当者とコミュニケーションをとってみることが大切です。親身に話をきいてくれる、要望をよく理解してくれるなど、自分に合う担当者が見つかるはずです。
複数社に査定依頼する際は、不動産一括査定サイトの利用がおすすめです。物件情報を入力すると、査定依頼可能な不動産会社が自動的にピックアップされるため、自力で依頼先を探す手間が省けます。
関連記事:不動産一括査定サイトおすすめランキング16選を比較【2024年最新】売却の体験談を掲載!人気サイトの評判や選び方も
土地を買うためにかかる費用を節約
土地を購入するためには、土地代の他に税金や手数料などの諸費用が必要となります。土地の購入に必要な費用の種類と金額の目安は、次のとおりです。
諸費用の種類 | 金額の目安 |
---|---|
仲介手数料 | 土地代によって上限が定められている |
印紙税 | 契約金額によって異なる |
登録免許税 | 固定資産税評価額の0.2% |
固定資産税 | 固定資産税評価額の1.4% |
都市計画税 | 固定資産税評価額の0.3%が上限 |
不動産取得税 | 固定資産税評価額の3% |
住宅ローン手数料 | 金融機関によって異なる |
手付金 | 土地代の10%程度 |
土地によっては解体費用や測量費用が必要となる場合もあります。土地を買うためには土地代金の10%程度の諸費用が必要になることを覚えておきましょう。ここでは、土地購入時の諸費用を抑える方法を紹介します。
仲介手数料の値引き
仲介手数料は法律によって上限が決められていますが、下限は決められていません。不動産会社によっては仲介手数料を安く設定している場合があります。交渉によって値引きをしてもらうことも可能です。
相手が大手不動産会社の場合や人気のある土地を購入する場合は値引き交渉をするのが難しいですが、元から安い会社を選べば仲介手数料を安く抑えることができるでしょう。
登記手続きを自分でおこなう
土地を購入するときは所有権を移転する手続きが必要になります。所有権移転登記には登録免許税と司法書士への報酬がかかりますが、自分で登記手続きをおこなえば数万円〜数十万円かかる司法書士報酬を節約することが可能です。
申請書の作成と必要書類を集める手間はかかりますが、初心者でも自力で所有権移転登記を完了させるは可能です。
税金の軽減措置や補助金を申請する
土地の購入をする場合には、印紙税や登録免許税などの税金を収める必要がありますが、税金によっては軽減税率が適用されるものもあります。軽減税率の適用期間は税金の種類によって異なるため、税務署のホームページで確認しておきましょう。
また、住んでいる地域の自治体によっては、土地を購入するにあたり補助金が支給される場合もあります。補助金の交付を受けるためには、条件を満たす必要があるケースがほとんどです。どのような補助金制度があるのか、交付条件はあるか、不動産会社の担当者や自治体の担当者に問い合わせてみましょう。
可能なら土地を一括で買う
手元の資金に余裕がある場合は、ローンを組まずに現金一括で購入したほうが諸費用を削減できます。ローンを組む場合、金融機関への手数料や金利分の支払いが必要になるためです。
ローンを組まずに現金で購入する場合、資金が大幅に減ってしまうというデメリットがありますが、トータルで考えればローンなしのほうが諸費用の負担を少なくすることができるでしょう。
関連記事:住宅ローンはどこに相談すべき?相談窓口の種類と相談する際の注意点
土地を安く買いたい人によくある疑問
最後に土地を安く購入したい人から、よく寄せられる質問に答えていきます。
- 土地の境界が確定していないとトラブルに発展する?
- 土地の埋設物の調査は必要?
- 土地を買うまでにかかる期間は?
- 安い土地の情報を仕入れる方法はある?
- 土地の価格は今後安くなる?
土地を購入する前に気になることは解消しておきましょう。
土地の境界が確定していないとトラブルに発展する?
土地を売買する場合、売主が買主に土地の境界を明示するという義務があります。土地の境界が曖昧なまま売買を成立させてしまうとトラブルが発生する可能性が高いからです。
土地の境界は測量時に確認することができます。確定した境界には境界標があるので契約を結ぶ前に確認しておきましょう。境界のトラブルは一般人にはよくわかりにくいため、不動産会社の担当者に相談しておくことが大切です。
土地の埋設物の調査は必要?
購入した土地の下に埋設物が見つかった場合、大きさや位置によっては建物の基礎工事が中断する可能性があります。撤去費用が高額になってしまうため、不動産会社や売主に法的責任を追求しましょう。
土地を購入する前であれば、売主に埋設物の調査を依頼するのもありです。売主が了承すれば、費用を負担する必要はありません。埋設物がないのを確認できれば安心して土地を購入することができます。
土地を買うまでにかかる期間は?
一般的に土地の購入が完了するまでには2〜3ヶ月かかるといわれています。土地を購入するときの流れは、次のとおりです。
- 購入する土地を探す
- 買付証明書の提出
- 土地の売買契約を締結する
- 引き渡し
住宅ローンを利用する場合や、土地の状況によっては期間が長くかかる場合もあります。土地の購入手続きの流れを把握して、スムーズに土地を手に入れましょう。
安い土地の情報を仕入れる方法はある?
安く売り出されている土地の情報は、不動産業者が利用できるレインズというサイトで入手することができます。
ここには、ポータルサイトには掲載されていない非公開物件の情報も掲載されていますが、一般人が利用することはできません。不動産会社に依頼すれば案内してもらえる可能性があります。
一般人が自分の力だけで安い土地の情報を取得するのは難しいでしょう。
土地の価格は今後安くなる?
土地の価格は全国的に上昇傾向にあります。しかし、少子高齢化による人口減少の影響により、地方で売買されている土地の価格が下がっていくことが予想されます。
人気エリアの土地であれば値段は下がりにくいでしょう。土地を購入するときは最新の相場をチェックすることが大切です。
まとめ
土地を安く購入する方法として、探し方と交渉の2つのに焦点をあてて解説しました。買主が売主に対して直接値下げ交渉をおこなうことができないため、土地を安く買いたいなら経験豊富で実力のある不動産会社を見つけることが大切です。
土地を購入するときは、土地代に加えて税金や手数料などの諸費用も必要になります。土地の諸費用も工夫によっては節約することが可能です。土地を安く購入することができれば、その分土地活用や自宅の建築費用にお金をかけることができます。条件でも金額でも自分が納得できる土地を見つけましょう。