「相続した空き家を手放したいが売却方法がわからない」「空き家を高く売る方法は?」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
空き家は所有している間、固定資産税を支払い続けなければならず、家の手入れをしなければ思わぬトラブルが生じることも少なくありません。今後活用する予定がないのであれば、できるだけ早めに手放しておいたほうがお得といえるでしょう。
そこで本記事では、空き家を売却する3つの方法を紹介します。売却の流れや注意点、控除される税金や補助金制度についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
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名前 | Kさん |
物件種別 | 戸建て | |
物件エリア | 東京都 | |
売却時期 | 2017年 |
※当メディアでは、ユーザーの生の声をお届けするために、実際に不動産売却を経験された方に直接取材を行っています。
編集部
目次
空き家を売却する3つの方法
空き家の売却方法はいくつかありますが、ここでは大きく分けて3とおりの売却方法を解説します。
- 空き家を壊さず売却する
- 空き家を取り壊して売却する
- 不動産会社の買い取りを利用する
空き家を壊さず売却する
空き家を売却する方法の1つに、取り壊しをせずに土地付き中古住宅として売却する方法があります。この方法で売却する場合、取り壊しの手間がいらず撤去費用がかかりません。
メリット | ・撤去費用が不要 ・リフォームの手間を減らせる |
デメリット | ・売却に時間がかかることも多い ・売却までは空き家の手入れや維持費が必要 |
家を買って自分好みにリフォームしたいと考える買い手もいるため、リフォームの手間もなくなるでしょう。
ただし、中古住宅の売却時期は予想が付きません。売れるまでは空き家の手入れや維持費がかかる点も覚えておく必要があります。
取り壊して売却する
2番目に紹介するのは、空き家を取り壊して更地として土地を売却する方法です。老朽化が激しい家やリフォームや修繕を必要とする場合は、更地にして売却するほうがおすすめです。空き家を取り壊さず売るよりも早く高く売れやすいでしょう。
メリット | ・空き家を残すより早く買い手が見つかりやすい ・高く売れる可能性が高い |
デメリット | ・解体費用が必要 ・売却できなかった場合は固定資産税が高くなる |
家の構造によっても変わりますが、解体費用がかかることが大きなデメリットです。建物によって様々なため、一概に伝えるのは難しいですが、100万円前後かかることが多くなっています。
更地よりも建物がある土地のほうが固定資産税は優遇されます。更地のまま売却できず1月1日を迎えてしまった場合は、固定資産税の額は約6倍になってしまいます。
買い取りを利用する
空き家を売却する方法として、不動産会社に仲介を依頼して売却する方法だけでなく、直接不動産会社に買い取ってもらう方法もあります。
メリット | ・短期間で売却できる ・仲介手数料が発生しない |
デメリット | ・市場価格よりも売却額が安くなる |
買い手を1から見つける必要がないため、約1ヵ月という短い期間で売却することが可能です。
ただし、不動産会社が買い取って他者に転売する必要があるため、市場価格よりも売却額は2割から3割安くなる点は押さえておく必要があります。売却金額が通常より安くなったとしても、早く現金化したいと考える人におすすめの方法です。
空き家を売却する流れ
空き家を売却する主な流れは次のとおりです。
- 不動産会社に査定を依頼
- 売却方法を選び媒介契約を締結
- 売却活動開始
- 内覧対応
- 売買契約締結
- 引き渡し・決済
空き家に限らず不動産を売却するときは、まず最初に不動産の査定をおこないます。適正な売却価格を知るために不動産会社に査定を依頼しましょう。
売却方法を決めたら、査定を依頼した不動産会社と媒介契約を締結し売却活動を始めます。不動産の売却は、売却活動開始から3ヵ月程度かかることが一般的ですが、不動産の条件によってはそれ以上かかることも珍しくありません。
購入希望者が現れたら条件交渉をして売買契約を締結します。締結後必要な書類を揃えて空き家の引き渡しが完了です。
空き家売却時の注意点
空き家売却時は次の3つについて注意する必要があります。
- 空き家の所有者を確認する
- 契約不適合責任を知っておく
- 解体するかは専門家に相談してから決める
知らないでおくことでのちのトラブルにつながる可能性があるため、それぞれ詳しく解説します。
売却する空き家の所有者を確認
空き家の売却で重要な点として、所有者の確認があります。不動産の売却ができるのは基本的に名義人本人のみです。
自己所有の空き家を売却する場合は問題ありませんが、相続した空き家の場合、名義人が変わっていない可能性があるため、事前に確認しておきましょう。
変更されていない場合は、法務局で名義変更のための相続登記をおこないます。必要な書類をそろえ、登録手数料を支払うことで申請できます。自分で手続きをすることも可能ですが、一般的には司法書士へ依頼することが多いです。
契約不適合責任が発生することを知っておく
空き家の売却後に、契約内容と異なる点が発覚した場合、買い主から契約不適合責任を問われる可能性があります。損害賠償の請求や契約の解除を求められるケースもあり、対応が必要です。
空き家に欠陥や不具合があれば伝えておくことはもちろんですが、売却前には建物に不具合がないか調べるインスペクションを実施しておくことで、契約不適合責任の発生を減らすことができます。
解体するなら専門家にアドバイスを仰ぐ
空き家を解体し更地として売却するのか空き家として売るのかの判断は、必ず専門家にアドバイスを仰ぎましょう。
空き家の状態によっては、解体せずに売却したほうがよいかもしれません。自分で判断せず不動産会社などの専門家にアドバイスをもらってから解体をするのか決めることが大切です。
空き家の売却にかかる費用
空き家売却をする際には以下のような費用がかかります。
- 仲介手数料
- 解体費や不用品処分費
- 測量費
- 登記に関する手数料
場合によっては不要な費用もありますが、売却で得られる金額を想定するためにも、どのような費用がかかるか事前に知っておくとよいでしょう。
仲介手数料
不動産会社に仲介してもらい空き家の売却ができた場合、報酬として仲介手数料を支払います。この報酬には、チラシの作成や物件情報サイトに物件を登録するなどの通常業務の費用が含まれています。特別に宣伝してもらう場合の費用や測量費などは含まれていません。
仲介手数料は依頼者保護の観点により宅地建物取引業法で上限が定められています。
売買金額 | 仲介手数料 |
200万以下 | 売却金額x5%+消費税 |
200万超400万以下 | 売却金額x4%+2万円+消費税 |
400万超 | 売却金額x3%+6万円+消費税 |
買い取りの場合、不動産会社に直接売るため仲介手数料は発生しません。
空き家の解体費や不用品の処分費
更地として売却する場合は、空き家の解体費用がかかります。解体する家の構造などで費用は変わり、木造が最も安く鉄骨造・RC造の順に金額が高くなります。1坪あたりの単価は以下のとおりです。
構造 | 坪単価 |
木造 | 3~4万円 |
鉄骨造 | 5~6万円 |
RC造 | 6~7万円 |
中古住宅として売る場合は、屋内のものはすべて空にする必要があるため、荷物や不用品などは処分する必要があります。また、更地として売却するため塀や門扉なども撤去しなければなりません。
しかし専門の買取業者依頼する場合は、撤去の必要がないケースもあるため確認が必要です。
測量費
土地の境界や地積を明確にするために測量が必要となることもあります。隣地との境界が不明瞭な場合や、土地を分けて売却する場合などです。
相続した空き家の場合は、測量図が古い場合やそもそも測量図がないことがあります。これらのケースでは隣地との境界が不明のため、測量をしなければなりません。
土地家屋調査士に依頼して測量をしてもらいますが、土地の状況によって費用は異なり、相場は35万円から100万円と幅が広いです。
登記・抵当権抹消にかかるもの
不動産の売却は基本的には土地の名義人のみしかできません。
空き家の名義人が被相続人になっていなければ、相続登記をする必要があります。その際にかかる費用は、必要な書類の取得費・登録免許税と司法書士へ登記を依頼する場合は、司法書士への報酬です。
空き家の売却で発生する税金の種類
家の売却をおこなううえで、以下2つの税金がかかります。
- 譲渡所得税
- 印紙税
それぞれ詳しく解説します。
譲渡所得税
不動産を売却し利益が出た場合の利益を譲渡所得といいますが、譲渡所得に課される税金が譲渡所得税です。譲渡所得税は、以下の式で計算できます。
譲渡所得は売却した不動産の所有期間に応じて税率が変わることに注意しましょう。
所有期間 | 税率 |
5年以下 | 所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9% |
5年超 | 所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5% |
復興特別所得税は2037年12月31日までは、所得税に加えて加算されることになっています。
取得費には不動産の購入代金・購入時にかかった仲介手数料や税金・建築費用などが含まれます。取得費が不明な場合は売却価格5%を概算取得費として計算するため、できるだけ取得費がわかるような書類を用意しておきましょう。
計算した結果利益が出ていない場合は、譲渡所得税を支払う必要はありません。
印紙代
不動産売買契約締結時には売買契約書を作成しますが、その契約書に印紙を貼付する形で納付する税金です。このときに貼付する収入印紙の金額は契約金額によって異なります。
契約金額 | 印紙税額 |
10万超50万以下 | 400円 |
50万超100万以下 | 1,000円 |
100万超500万以下 | 2,000円 |
500万超1,000万以下 | 1万円 |
1,000万超5,000万以下 | 2万円 |
5,000万超1億以下 | 6万円 |
売り主・買い主双方の不動産売買契約書を作成する場合は、それぞれに収入印紙の貼付が必要です。原本と写しを作成する場合は、上記表の金額の半分となります。
空き家の売却で控除される税金や補助金
売却をおこなう際は、仲介手数料や解体費などの費用の他に税金も課せられるため、それなりの費用が必要です。そのため、空き家の売却をおこなうと、税金が控除されたり補助金制度を利用できたりします。
損をしないためにも、税金や補助金については必ずチェックしておきましょう。
控除される税金
空き家売却で譲渡所得税が控除されるケースがあります。要件に当てはまる場合に適用されるため、積極的に活用しましょう。空き家売却で利用できる特例と適用要件を以下の表にまとめました。
特例 | 適用要件 |
被相続人の居住用財産の特例 | ・令和5年12月31日までの売却 ・昭和56年5月31日以前に建築された住居であること ・区分所有建物登記がされていないこと ・相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいないこと |
3,000万円の特別控除 | ・以前に住んでいた家屋を、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること ・売った年、その前年および前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと ・売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと |
マイホームを売ったときの軽減税率の特例 | ・日本国内にある自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地を売ること ・売った年の1月1日において売った家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えていること ・売った年の前年および前々年にこの特例の適用を受けていないこと ・売った家屋や敷地についてマイホームの買換えや交換の特例など他の特例の適用を受けていないこと ・親子や夫婦などに対して売ったものでないこと |
※上記表以外にも細かい条件があるため、詳細は国税庁のホームページをご覧ください
表からわかるように空き家売却では3つの税制上の特例があります。支払う税金が減ることによって、利益が増えることになるため、当てはまる特例がないか確認をしましょう。
解体で利用できる補助金制度
国土交通省では空き家対策総合支援事業として各自治体への支援をおこなっています。自治体ごとに補助金制度の名前や内容は異なりますが、空き家解体では、下記のような補助金を出しています。
- 空き家解体撤去補助金
- 老朽空家等解体費等補助金
- 空き家等改修補助金交付事業
空き地所轄の自治体のホームページには補助金が記載されているため、確認したり直接問い合わせてみましょう。
“参考:国土交通省「空き家対策総合支援事業」”
空き家を高く売るための3つのポイント
空き家売却ではさまざまな費用や税金がかかります。費用や税金が大きくかかることで、自己資金が必要となるケースも考えられるため、出費を抑える方法を知っておくことが必要です。
不要なものは処分する
空き家のなかに使わない不用品があれば事前に自分で処分をしておきましょう。空き家として売却する場合は、家の中は空にしておかなければなりません。
自分でゴミ処理場に運べる分は運び、リサイクルショップなどで対応可能ものがあれば買い取ってもらい荷物を減らしましょう。
解体して更地として売却する場合は、解体の際に一緒に処分をしてもらうことも可能です。しかし、解体費は撤去物の多さや重量で変わるため、不用品を空き家と一緒に撤去してもらうことで費用は高くなります。
リフォームやリノベーションはしない
空き家を売却する前にリフォームやリノベーションをしたほうが高く売れるのでは、と考えることもあるでしょう。
しかし、リフォームやリノベーションでかけた費用を売却金額に上乗せすると、買い手が見つかる可能性は大きく下がります。上乗せした費用を売却金額とすることで相場金額よりも高くなってしまうからです。
また、家の購入を考えている人は、家の内装や間取りで選ぶよりも、立地や広さで選ぶことのほうが多いです。希望条件の家を買ってから、買い主が好みのリフォームやリノベーションをするほうが多いでしょう。
壊さず売るなら修繕する
空き家を壊して売却する場合、修繕すべき点があれば事前に修繕をしておきましょう。同じ程度の物件があるならば修繕箇所がある物件を購入しようと考える人は少ないため、売却価格が下がる可能性があるためです。
キッチンや浴室などの水回りで故障している場所や雨漏りなどがあれば、あらかじめ修繕を済ませましょう。ただし、修繕したからといって売却できるとは限りません。相場の金額や他の出費とのバランスを考えた修繕が望ましいです。
空き家を売却する際の不動産会社の選び方
不動産会社の選び方で売却期間や金額は変わってきます。たくさんある不動産会社の中からどのようにして選んだらよいか、それぞれ詳しく見ていきましょう。
空き家の売却や相続問題に強い不動産会社を選ぶ
一戸建ての売買・マンションの売買・賃貸など不動産会社ごとに、得意分野はそれぞれ違います。
空き家を売却しようと考えているならば、空き家や相続に関する知識が豊富で得意分野としている不動産会社に依頼しましょう。不動産会社のホームページでは得意な分野や実績を記載しています。
ただし、得意分野を見つけるのが難しいことも考えられるため、自身の不動産に対応する不動産会社を簡単に見つけたい場合は、不動産一括査定サイトを利用するのがおすすめです。
おすすめの不動産一括査定サイトに関しては、以下の記事で紹介しています。
関連記事:不動産一括査定サイトおすすめランキング16選を比較【2024年】売却の体験談を掲載!人気サイトの評判や選び方も
信頼がおける不動産会社や担当者を選ぶ
信頼の置ける不動産会社または担当者を選ぶことも重要です。不動産会社を探す際には、複数の不動産会社に査定を依頼して比較してから選ぶことをおすすめします。
不動産会社に査定を依頼した際の対応もよく見ておきましょう。対応の素早さや質問に対して丁寧に答えてくれる不動産会社や担当者であれば、その後の売却活動もスムーズに進むことが考えられます。
査定価格のみだけでなく、信頼がおける不動産会社や担当者を選ぶことが売却の成功へとつながります。
【空き家の売却経験者にインタビュー】どのように売却したのか聞いてみた
どのような経緯で空き家を所有されていたのでしょうか?



空き家の活用方法に関して相談などは行われましたか?



査定依頼をする際は複数の会社に依頼しましたか?



空き家の売却で手間や難しいと感じたポイントはありましたか?





まとめ
空き家を売却する方法には、「中古住宅として売却する方法」「更地にして売却する方法」「不動産会社に買い取りして貰う方法」の3つがあります。更地として売却する場合や中古住宅で売却する場合は、エリアによって売却するまで時間がかかります。
空き家売却にはさまざまな費用や税金がかかりますが、費用を抑えるコツがあるため上手に活用しましょう。
また、空き家をスムーズに売却するためには、信頼のおける不動産会社を選ぶことが重要です。不動産一括査定サイトを利用することで、複数の不動産会社を比較して選ぶことができます。
空き家売却の注意点も解説しているので、ぜひ売却の際の参考にしてください。