現在住んでいる戸建てを売却したいと考えているけれど、不動産自体を売却することが初めてのため、まずは何をしたらよいのか、どのような流れでおこなうのかと不安を感じている人も多いでしょう。
戸建て売却には、一般的に6ヵ月前後かかることが多いといわれています。売却をスムーズにおこなうためには、あらかじめ戸建てを売却する流れや手順、必要書類について知っておくことが大切です。戸建てを売却する際は、余裕を持ったスケジュールを立てておきましょう。焦って売却をおこなうと、売却額を想定より大幅に下げる事態になるなど、損をしてしまう可能性が高いです。
そこで本記事では、戸建て売却の流れを初めての人でもわかりやすいように、7ステップで紹介します。ぜひ最後まで読んで売却の際にお役立てください。
目次
戸建て売却の流れ7ステップ
戸建て売却は以下の7ステップで完了します。
- 戸建ての売却相場を調べる
- 事前準備をする
- 売却を依頼する不動産会社と媒介契約締結
- 売却活動を始める
- 売買契約を結ぶ
- 決済と同日に家を引き渡す
- 確定申告をおこなう
1.戸建ての売却相場を調べる
最初におこなうのは戸建ての売却相場を調べることです。売却相場を調べる方法はいくつかありますが、ここでは不動産会社へ査定を依頼してもらう方法のほか、自分で調べる方法も紹介します。
自分で相場を調べずに売却に出した場合、言い値で売却してしまい損をすることになりかねません。自分で調べておけば、最低希望金額の目安がつけやすくなり、査定結果が妥当であるかの判断もしやすいです。そのため必ず自分でも調べてみましょう。
不動産会社へ査定を依頼する
不動産会社に戸建ての売却相談をすると、戸建ての査定金額を算出してもらえます。不動産会社による査定は大まかに分けて、AI査定・簡易査定・訪問査定の3種類です。精密な査定結果を知りたい場合は、実際に家を見てもらう訪問査定を選択しましょう。
不動産会社へ査定を依頼するなら、複数社へ一度に依頼できる不動産一括査定サイトがおすすめです。
相場や自分に合う不動産会社を見つけるなら一括査定!
不動産一括査定サイトとは、一度の必要事項の入力で複数社に査定依頼ができるサービスです。
査定依頼をすると、複数の不動産会社の査定結果を見ることができるため、売却相場や自分の売却したい戸建ての売買に強い不動産会社を知ることができます。
関連記事:不動産一括査定サイトおすすめランキング22選を比較【2024年最新】売却の体験談を掲載!人気サイトの評判や選び方も
土地総合情報システムで調べる
国土交通省が運営している土地総合情報システムで相場を調べることもできます。このシステムは、実際におこなわれた取引の価格や地価公示を閲覧できるものです。
取引時期・種類・地域を選ぶと不動産取引価格の検索ができます。検索の結果、不動産の取引価格だけではなく、面積や形状・建築年数・用途・前面道路・建ぺい率まで記載されているため、売却予定の戸建てに近い物件の価格が調べやすいです。
レインズマーケットインフォメーションで調べる
成約価格をもとにした、不動産取引情報サイトレインズマーケットインフォメーションでも相場価格を調べることが可能です。
レインズマーケットインフォメーションは、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営しています。全国に4つある不動産流通機構が保有している実際の成約価格が、このサイトに記載されています。
都道府県を選び、地域詳細を選んで検索しますが、追加で地域の詳細・沿線・間取りなど具体的な物件情報で調べることも可能です。
関連記事:レインズは個人で閲覧はできる?利用できるケースとレインズの概要
2.事前準備をする
戸建ての相場を調べたあとは売却に必要な準備をしておきましょう。売却する戸建てが住宅ローンの借り入れをして購入した場合は残債額を確認しましょう。抵当権が金融機関で設定されているため、残債をすべて返済しなければ売ることができないからです。戸建ての売却金で返済できる金額であるか確認しましょう。
戸建てに隣接している土地との境界線や権利関係も、事前に調べておく必要があります。売却する土地の所有者が売却する本人の名義でなければ、売却ができません。また、境界線がはっきりしていないと、売却後に隣人と買い主の間にトラブルが生じる可能性があります。境界の有無は登記簿謄本・地積測量図で確認ができます。
その他にも、売り主として戸建てのアピールポイントを考えてまとめるなど準備しておくことは多いです。
必要な書類
不動産売却には必要な書類がさまざまあります。事前に準備することで滞ることなく売却が進められるので、準備しておくことをおすすめします。
- 本人確認書類
- 実印
- 権利証もしくは登記識別情報通知書
- 固定資産税納税通知書
- 印鑑証明書
- 建築確認通知書・検査済証
- 確定測量図・境界確認書
- 預金通帳
関連記事:不動産売却の必要書類は?タイミングごとに揃えるべき書類や取得方法を解説
3.売却を依頼する不動産会社と媒介契約締結
不動産会社に依頼した査定結果などを踏まえて、戸建てを売却する不動産会社を選びます。不動産会社に仲介を依頼して不動産を売却する場合は、媒介契約が必要です。
一般媒介契約
複数の不動産会社と媒介契約を結べるのが一般媒介契約です。自分で買い主を見つけて売買契約を結ぶことができます。
売却する不動産の情報を登録して不動産会社が閲覧できるシステムがレインズですが、レインズへの登録は任意とされています。このシステムは、スピーディーな売買を成立させるために広く不動産の情報を知らせるためのものです。
不動産会社から売り主に対して、販売活動の状況報告の規定はなく、状況がわからないことがデメリットといえます。
専任媒介契約
専任媒介契約は一般媒介契約とは違い、不動産会社との媒介契約は1社のみです。自分で買い主を探すことは可能ですが、媒介契約を結んだ不動産会社を通して売買契約を結ばなければなりません。
不動産会社は専任媒介契約を結んだ場合、レインズへの登録義務があり2週間に1回以上は、販売状況の報告をおこなう必要があります。なお、レインズの登録は契約の翌日から7日以内と定められています。
専属専任媒介契約
他の不動産会社と媒介契約ができず、自分で買い主を探すこともできないのが専属専任媒介契約です。レインズへの登録義務はあり、販売状況の報告頻度は専任媒介契約よりも多く1週間に1回以上必要です。レインズへの登録も契約の翌日から5日以内に不動産会社がおこなわなければいけません。
戸建ての状況や条件によってどの契約があっているのかは違うため、どの契約を選べばよいか迷うときは不動産会社に相談しながら決めましょう。
売出し価格を決める
媒介契約を締結した不動産会社と売出し価格を決めてから販売活動に入ります。査定依頼の結果を踏まえて慎重に価格の決定をおこないます。
査定価格イコール成約価格ではないので、査定価格をそのまま売出し価格にしなくても構いません。売却金額以外にも、最低希望金額と売却可能金額を決めましょう。購入希望者が見つかった場合、値下げ交渉をされることがあります。そのため値下げを意識して売出し価格を決めましょう。
4.売却活動を始める
次に、戸建てを売却するための販売活動を不動産会社が始めます。購入希望者が戸建ての内覧をしたいという申し出があれば、売り主は内覧の対応をおこなってください。
戸建て売却の広告を出す
不動産会社は買い手を見つけるために幅広く集客活動をおこないます。不動産会社の顧客への紹介や店舗に物件のチラシを掲載するほか、ポータルサイトや自社のサイトに戸建ての情報を掲載するなどし、戸建ての売却情報を周知します。
不動産会社によって広告活動は違いますが、広告活動の内容に希望があれば、不動産会社に伝えることも可能です。ただし、売り主側が依頼した販売活動にかかる費用は、売り主側が負担するということに注意が必要です。
また、近隣住民や知人に戸建て売却を知られたくない場合は、不動産会社に相談してみましょう。できるだけ戸建ての売却情報を拡散しない方法をとってもらえます。
内覧準備と内覧対応
売却活動を始めると内覧希望者が現れます。急な内覧にも対応できるように売却活動を始めたら、内覧の準備を進めておきましょう。内覧時の戸建ての印象次第で、希望者は購入するか判断することもあるため、しっかりとした準備が必要です。
準備としては以下のようなことをおこなっておきましょう。
- 水回りや玄関先・室内の掃除
- 不要品の処分
- 臭いがあれば消臭しておく
- 照明切れの電球は交換する
内覧当日は、売却理由を質問される場合があります。離婚や転勤など個人的なことで答えたくない場合は住み替えのためなどと話してもよいでしょう。しかし、ご近所トラブルやシロアリの発生など理由によっては瑕疵に当たる可能性があるため、きちんと話しておきましょう。
5.売買契約を結ぶ
購入希望者が戸建ての購入を決めたら、不動産会社を通して不動産購入申し込み書または買付証明書を受け取ります。売却価格や引き渡しの条件の交渉をし、無事まとまれば契約日を設定し売買契約締結へと進みます。
不動産会社は、重要事項説明書や売買契約書の準備をします。契約のまえにどちらも内容に間違いがないか確認しましょう。
契約日当日は、双方の不動産会社立ち会いのもと、売り主・買い主が売買契約書に署名捺印をします。買い主より手付金を受け取ることで、無事売買契約が成立です。
6.決済と同日に家を引き渡す
売買契約書で定めた日に残代金の受領と戸建ての引き渡しをおこないます。決済と引き渡しは、売買契約から1ヶ月ほど経った日におこなうことが一般的です。
引き渡し当日の流れは以下のとおりです。
- 売り主・買い主の本人確認
- 所有権移転登記および抵当権の抹消・設定登記
- 買い主のローンの実行
- 残代金の受領
- 仲介手数料の支払い
- 鍵と書類の引き渡し
当日には引き渡し日を基準として固定資産税の清算も済ませます。
7.確定申告をおこなう
代金の決済と引き渡しで売却は完了ではありません。不動産を売却して利益が出た場合は確定申告が必要です。不動産など資産を売却して得た利益のことを譲渡所得といいますが、計算は以下の式で計算できます。
計算結果がマイナスであった場合は所得税・住民税などの税金は発生しません。
戸建て売却でかかる費用
戸建て売却にかかる費用には必ずかかる仲介手数料や印紙税と、場合によってかかる登録免許税や譲渡所得税などがあります。売却金額がそのまま手元に残るわけではありません。かかる費用の種類は以下の表のとおりです。
必ずかかる費用 | 仲介手数料 |
印紙税 | |
場合によってかかる費用 | 登録免許税 |
譲渡所得税 | |
司法書士への報酬 | |
住宅ローン返済手数料 | |
引越し代 | |
測量代 | |
解体費用 |
戸建て売却でやってはいけないこと
戸建て売却の際には、書類の準備や相場を調べるなど、やっておくべきことはいくつかありますが、ここではやってはいけないことを解説します。ポイントを抑えておくことで、失敗や後悔を減らすことができるでしょう。
売却期間に余裕を持たずに売りに出す
戸建てが売却できるまでは一般的に3ヵ月から6ヵ月かかるといわれています。戸建ての状態や条件によって期間は左右されますが、売却のタイミングによっても早く売れたり時間がかかったりします。
早く売れて欲しいと思うことは当然ですが、急いで売ろうとすることはおすすめしません。どうしても早く売らなくてはいけない事情があるときは、仕方がありません。余裕を持たずに売りに出すことで売却価格を安く設定してしまい、結果損をすることになります。
売却前に戸建てのリフォームや解体をおこなう
高く早く売ろうとして、戸建てのリフォームや解体をおこなうことはおすすめしません。戸建てがリフォーム済みとして売られているときがありますが、大抵の場合不動産業者がおこなったものです。
必ずしもリフォームにかけた費用を上乗せした金額で売れるわけではありません。また、リフォームの内容を購入希望者が気に入らない可能性もあります。リフォームしている最中は売却活動をおこなうこともできません。リフォームだけではなく解体して売却することも同様なため、メリットよりデメリットが上回る可能性が高いといえるでしょう。
ローンが残っているのに金融機関に売却の連絡をしない
住宅ローンが残っている戸建てには、売却するとき金融機関に連絡をして、売却の承諾が必要となります。なぜならば、住宅ローンが残っている戸建てには、借り入れている金融機関による抵当権が設定されているからです。売却する場合は、抵当権を抹消しなければ売却ができません。
戸建ての売却金で住宅ローンの残債を返せない場合は、任意売却になります。任意売却となった場合も金融機関の承諾が必要です。
残債分の金利計算や繰り上げ返済手数料の計算のほか、抵当権抹消のための書類作成のために時間がかかるため、金融機関にはあらかじめ相談しておきましょう。
関連記事:住宅ローンはどこに相談すべき?相談窓口の種類と相談する際の注意点
不動産会社に任せっぱなしにしておく
戸建ての売却を不動産会社に仲介依頼した場合、売却活動は基本的には不動産会社におまかせします。売り主側はほとんどやることはありませんが、任せっぱなしにしておくのはやめましょう。
専任媒介契約は2週間に1回以上・専属専任媒介契約は1週間に1回以上の報告の義務がありますが、一般媒介契約にはありません。販売活動について報告する方法は、不動産会社によって異なりますが、きちんと中身を確認しましょう。
おもに販売活動をおこなうのは不動産会社ですが、値下げなどの最終的な判断は売り主側がおこないます。
戸建てに関する不利な情報を隠す
売り主側は買い主側に伝えなければいけない情報がありますが、意図的に隠して売却した場合、買い主から損害賠償請求や契約解除される可能性があります。
買い主は戸建てを実際に見て、戸建ての情報を確認してから購入するか検討します。雨漏りや床下浸水・事故や事件による死亡、周辺に忌避されるような建物などがある場合、きちんと話をしたり契約書に記載をしておきましょう。
まとめ
戸建て売却をおこなうには相場を知りしっかりとした準備が必要です。売却する不動産会社と媒介契約を結び、売却活動をおこないます。不動産会社に任せっぱなしにしておくのではなく、定期的に自分からも連絡を取りましょう。
売買契約を結び、決済と引き渡しで売却の流れは完了ではありません。利益が出た場合は確定申告をおこないますが、損失が出た場合でも利用できる特別控除や特例があるので、自分のケースが当てはまるか確認してみましょう。ローンの残債がある場合は、金融機関に必ず連絡が必要です。
まずは不動産会社に査定依頼を出し、見積もり結果を比較して依頼する不動産会社を決定しましょう。