不動産査定を依頼したいけど、「個人情報を入力する似に抵抗がある」「電話番号を伝えて営業電話がかけられたくない」という人もいるのではないでしょうか。
不動産査定には匿名で利用できるサイトも存在するため、個人情報を入力せずに査定価格を知ることも可能です。
そこで本記事では、匿名で利用できる不動産査定について、基本的な仕組みやおすすめサービス、メリットについて紹介します。利用時の注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
匿名の不動産査定とは
匿名で利用できる不動産査定とは、不動産の情報やメールアドレスの入力のみで査定依頼する方法です。名前や電話番号などの個人情報を入力する必要がありません。
本来不動産の査定は、築年数や面積、間取りなど不動産に関する情報だけで算出できますが、不動産会社が利益を上げる必要性があるため、顧客へのアプローチ方法として、名前や電話番号が求められていました。
しかし2022年現在では、顧客のニーズに応えるため、匿名に対応したサービスが複数誕生しています。
唯一入力が必要なメールアドレスは、結果を知らせるために必要な情報です。普段使いしているものも知られたくない人は、フリーアドレスでも利用できます。普段利用しないメールアドレスを入力しておけば、特段通知が気になることもないでしょう。
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2つの匿名不動産査定方法
匿名の不動産査定方法には、以下の2種類があります。
- 不動産会社による匿名査定
- AIによる査定サービス
それぞれどのような特徴をもつ査定方法なのか、詳しく解説します。
不動産会社による匿名査定
不動産会社による匿名査定とは、個人情報を伝えることなく結果だけを受け取れる方法です。査定額は、各不動産会社の担当が自社の実績やニーズを分析して算出します。
2022年9月現在、匿名で会社に依頼できるサイトは、LIFULL HOME’Sのみとなっており、最大6社の査定価格を比較検討できます。
利用社は結果が届くのを待つだけで、不動産会社とのやり取りは発生しません。不動産査定サイトを経由するため、メールアドレスも不動産会社に知られず、安心して利用できます。
査定結果の精度を上げたい人は、できるだけ正確に築年数や面積を入力することが大切です。おおよそでも査定依頼はできますが、実際の売却価格とは誤差が生まれる可能性が高まります。
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AIによる査定サービス
AIによる査定とは、企業が独自に開発し過去の取引データを学習・分析させたAIを使い、自動的に査定額を算出する方法です。不動産の情報を入力すると瞬時に結果がわかり、これまでの価格推移のグラフ化してくれるサービスもあります。
どこのサービスも24時間対応で、何度でも利用は無料です。不動産の価値を知りたいときに、いつでも気軽に利用できるのは大きなメリットといえます。
サービスのなかには、メールアドレスの入力が不要なものも多く、公式サイト内には地域ごとの相場や間取り・築年数による価格を掲載しているものもあります。不動産会社に依頼することなく、おおよその相場価格は把握できるでしょう。
AI査定について詳しく知りたい人はこちらの記事でも解説しています。
関連記事:マンション査定はAI(自動)でできる?おすすめサイトやメリット・デメリットを解説
匿名査定と他の不動産査定方法の違い
不動産査定の方法には、匿名査定以外にも複数の種類があります。それぞれの違いは以下のとおりです。
匿名査定 | 机上査定 | 訪問査定 | 一括査定 | |
入力が必要な物件の情報 | ・物件の種類 ・住所 ・築年数 ・面積 ・間取り |
・物件の種類 ・住所 ・築年数 ・面積 ・間取り |
・物件の種類 ・住所 ・築年数 ・面積 ・間取り |
・物件の種類 ・住所 ・築年数 ・面積 ・間取り |
個人情報入力の有無 | メールアドレス | ・氏名 ・電話番号 ・メールアドレス |
・氏名 ・電話番号 ・メールアドレス |
・氏名 ・電話番号 ・メールアドレス |
査定額が算出されるまでの時間 | ・当日~数日 ・AIならば即座 |
当日~数日 | 1~2週間 | 依頼する査定方法による |
算出価格の幅 | 数百万円 | 数十万円~数百万円 | 数十万円~数百万円 | 数十万円~数百万円 |
特徴 | ・営業電話がかかってこない ・個人情報を知られる心配なし |
・匿名査定より精度が高い ・手間が少ない |
・最も精度が高い ・不動産会社の担当者が目視で調査 |
・複数社への査定依頼が1度にできる ・机上査定、訪問査定から選べる |
入力する情報はどの査定方法も同じとなっていますが、訪問査定においては目視による調査が実施されるため、痛みや劣化部分、日当たりなど、細かな情報を査定結果に反映できます。そのため査定額は、他の査定より実際の売却価格に近くなるでしょう。
一括査定は1度の情報入力で複数社に依頼する方法です。机上査定と訪問査定から選択でき、査定方法によってかかる時間や値幅は変わります。
実際の売却で査定を依頼するときは、次のように使いわけるのがおすすめです。
- おおよその査定額のみを知りたいなら「匿名査定」
- 相場を調べるなら「一括査定による机上査定」
- 精度の高い査定額を知りたいなら「訪問査定」
関連記事:戸建てを売却する相場はいくら?調べ方や築年数による違いも解説
関連記事:不動産一括査定サイトのおすすめランキング!不動産売却におすすめの人気16選を比較し選び方を紹介【2024年最新】
不動産査定を匿名でおこなうメリット
不動産査定を匿名でおこなうメリットとして、以下の4つが挙げられます。
- 個人情報なしで依頼できる
- すぐに結果がわかる
- 気軽に利用できる
- 相場価格の調査に利用できる
上記で紹介した違いとともに、利用する目的にあっているかを判断しましょう。
個人情報なしで依頼できる
匿名の査定依頼では、個人情報を不動産会社に伝えることなく依頼できるため、不動産会社から営業電話をかけられる心配はありません。
机上査定や訪問査定で個人情報を伝えると、査定額のみを知りたい人は、すべての営業電話を断る必要があるため、おっくうに感じることも少なくないでしょう。
また、個人情報を伝えてしまうと見込み客としてデータベースに残り、不動産会社で情報流出が起きると、第三者の手に渡るリスクが生まれます。匿名でメールアドレスのみの入力で、不動産会社には情報が流れないため、個人情報流出のリスクが一気に下がります。
すぐに結果がわかる
匿名のなかでもAIを利用した査定であれば、瞬時に結果がわかります。利用には一切お金がかからないため、気になったときにその都度最新相場が調べられます。また、机上査定や訪問査定と異なり、24時間いつでも査定価格を知れるのもメリットといえるでしょう。
不動産会社による匿名査定はAI査定に比べると時間を要しますが、机上査定と同様に、タイミングによっては数時間で結果が届きます。
気軽に利用できる
匿名査定であれば、査定目的を聞かれることなく気軽に利用できます。離婚による財産分与や遺産分割、担保にするための価値調査など、伝えにくい内容であったとしても、気になることはありません。
また、どのサービスも査定依頼はインターネット上で完結し、不動産会社に直接足を運ぶ必要性がない点もメリットの1つです。時間に縛られず不動産の価値を知りたくなったとき、いつでも査定依頼を出せます。
相場価格の調査に利用できる
匿名の不動産査定では、結果が出る早さと利用のしやすさが相まって、相場価格調査に便利です。
売却を仲介してもらう不動産会社を選ぶ際は、適切な査定価格を提示していることが重要になるため、あらかじめ相場価格を知っておくことで、極端な査定額を算出した会社をのぞけます。
一括査定で複数社に机上査定を依頼する場合でも、同様の判断はできますが、AIによる査定価格と担当者による査定価格を比較することで、より精度の高い価格を知ることができるでしょう。
不動産匿名査定のデメリット・注意点
個人情報なしで瞬時に査定価格を知りたい人におすすめの匿名査定ですが、以下のようなデメリットも存在します。
- 査定結果の精度が低い
- 売却したいときは再度査定を依頼する必要
- 不動産についての相談ができない
それぞれの詳細を解説するので、理解したうえで査定依頼を出してください。
査定結果の精度は低い
ビッグデータを分析して算出された査定結果でも、考慮される情報は限定的で、他の査定方法より精度が低い傾向にあります。
そのため、匿名での不動産査定の結果だけを根拠に、財産分与や遺産分割を進めるのはリスキーです。実際の売却価格との差は出やすく、ローンの残債が返済しきれないことも考えられます。
机上査定であれば担当者が算出するため、世の中のニーズの反映や、依頼者に連絡をして物件の状態を知るなどして、AIに蓄積されていないデータからの算出が可能です。訪問査定では担当が目視で傷み具合まで確認できます。
精度にこだわる場合は、匿名査定以外の方法も視野に入れましょう。
売却したいときは再度査定を依頼する
匿名で不動産査定を依頼しても、売却の手続きまでは進められず、再度査定が必要になり2度手間です。仲介による不動産売却をおこなうのであれば、不動産会社とのやり取りは避けられず、個人情報を伏せたままにはできません。
はじめから売却まで想定している人は、机上査定や訪問査定で不動産会社を厳選し、手続きを進めるほうが手っ取り早いでしょう。一括査定であれば、サイトが独自に不動産会社を審査しており、悪質なところに依頼してしまうリスクを下げられます。
以下の記事では、おすすめの不動産一括査定サイトを紹介しています。選び方についても紹介しているので、使い勝手のよいサイトを利用してください。
関連記事:不動産一括査定サイトのおすすめランキング!不動産売却におすすめの人気16選を比較し選び方を紹介【2023年最新】
不動産についての相談ができない
匿名のままでは、不動産会社に相談する手段がありません。査定結果や売却で気になることを聞くためには、電話番号やメールアドレスを伝える必要があります。
本格的に査定や売却に関する相談を進めたい場合は、机上査定や一括査定の準備を進めましょう。匿名査定は、あくまでも参考となる相場価格を知りたいときにおすすめできるサービスといえます。
匿名で不動産査定をする流れ
匿名で不動産査定をする流れは次の3ステップです。
- 匿名査定できるサイトにアクセス
- 査定結果の確認
- 売却に進むなら不動産会社に連絡
各ステップについて詳しく解説します。
1:匿名査定できるサイトにアクセス
利用してみたいサイトの公式TOPにアクセスし、必要な情報を入力します。上記で紹介した3つのサービスでは、以下のような項目の入力が必要です。
LIFULL HOME’S | HowMa | マンションナビ |
・物件の種類 ・住所 ・マンション名 ・間取り ・専有面積 ・所在階 ・主要採光面 ・築年数 ・現況 ・査定依頼の理由 |
・マンション名 ・部屋番号 ・専有面積 ・間取り ・所在海 ・総階数 ・現況 ・メールアドレス |
・マンション名 |
現況では、居住中・空室・賃貸中のいずれかの選択肢にチェックを入れるだけです。戸建ての査定をする場合は、建物の構造や専有面積の変わりに土地と建物の面積が必要になります。
2:査定結果の確認
査定結果は、AIであれば即座、不動産会社への依頼ならば当日~数日でわかります。査定額だけを見て終わりにせず、一緒に書かれている情報も必ず確認するのがおすすめです。
査定額の根拠や不動産会社の特徴を見ることで、正式に売却を依頼する先を選ぶ判断材料になります。AI査定には明確な査定の根拠が欠かれていないことも多いため、その他の分析結果などをよく確認しておくとよいでしょう。
複数社へ査定依頼を出している場合は、全社の査定結果を比較することで相場価格を把握することができます。
不動産会社へ連絡
匿名の不動産査定結果を見て、より詳しい金額を知りたい人は、気になった不動産会社で査定依頼しましょう。匿名査定後の査定依頼の流れはさまざまなため、各サービスで確認してください。
この段階になると、匿名のままやり取りを続けることはできませんが、より精度の高い査定結果を知ることができます。
また、匿名査定で価格相場を把握しているため、不動産会社による査定結果の妥当性を判断できるようになっているでしょう。
不動産査定後の売却までの流れ
不動産査定後に物件を引き渡すまでの流れは、次の5ステップです。
- 不動産会社と媒介契約
- 売却活動
- 購入希望者の内覧の対応
- 購入希望者と売買契約
- 代金の決済と引き渡し
媒介契約とは、不動産会社へ正式に売却の仲介を依頼する契約です。仲介手数料や媒介契約の種類を決定します。
売却活動は不動産会社が主におこない、自身は内覧の対応が主な役割となります。買い主が見つかったら、値引きや引き渡しの条件の交渉をえて、売買契約を結びます。この段階になると、自身の都合で簡単にキャンセルはできないため、慎重に検討する必要があります。
居住中の人は引越しを済ませ、引き渡し当日を迎えましょう。代金の決済や登記手続きができたら、不動産の売却は完了です。売却活動から引き渡しまでは、早いケースで3ヵ月程度です。
不動産売却全体の流れを詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:不動産売却の流れとは?必要書類や契約方法など7つのステップで解説
不動産査定依頼時に準備しておきたいこと
匿名での不動産査定を依頼する人は、特別な準備は不用です。しかし、売却手続きを進める予定の人は、次の3つの準備をしておきましょう。
- 書類の準備
- 住宅ローン残債の確認
- 売却の希望条件の明確化
それぞれ詳しく説明します。
書類の準備
媒介契約や売買契約の段階で必要になってくるため、本格的に売却に進めたい人は、次の書類を準備しておくとスムーズな手続きが進められます。
- 公図・測量図:手元にない人は法務局で発行
- 登記簿謄本:手元にない人は法務局で発行
- 登記識別情報(登記済権利証):再発行不可のため公証役場か司法書士の本人確認が必要
- 身分証明書:運転免許証・パスポート・国民年金手帳など写真付きで公的なもの
- 売買契約書・重要事項説明書:購入時に受け取っている
- 住民票:最寄りの役所で発行
- 印鑑証明書:最寄りの役所で発行
- 固定資産税納税通知書:物件の所有者に毎年郵送されている
書類の発行にはそれぞれ数百円の手数料がかかります。紛失しないよう保管しておいてください。不動産売却における必要書類については、以下の記事でも解説しています。
関連記事:不動産売却の必要書類は?タイミングごとに揃えるべき書類や取得方法を解説
住宅ローン残債の確認
現在住宅ローンの返済を続けている人は、査定額で完済できるかを判断するため、住宅ローン残債の確認も必要です。完済するまでは自由に売却する権利がないため、売却価格を返済に充てるのが一般的です。
不足しそうな場合は、自己資金や住み替えローンなどで補填します。補填しきれないならば、売却の延期を検討したほうがよいでしょう。住宅ローンを組んだ金融機関に相談すると、自身にあったアドバイスをもらえます。
住宅ローンの相談先については以下の記事でも解説しているのでぜひ参考にしてください。
関連記事:住宅ローンはどこに相談すべき?相談窓口の種類と相談する際の注意点
関連記事:家の売却はローン中でも可能?5つの売却方法とオーバーローン時の注意点
売却の希望を明確にする
売却の希望が明確になっていないと、スムーズな売却活動ができません。最低限、希望額や引き渡しの希望時期を明確にしておきましょう。追加で次のことを決めておくと、不動産会社が売却活動をしやすくなります。
- どこまで広告を出すのか
- 値引きはどこまで許容するか
- 傷みがある箇所の修繕に対応するか
特に売却を近所に知られたくない人は、広告を出す範囲を制限してもらうのがおすすめです。売り出し中の看板を出されてしまうと、売却は周知の事実となります。
関連記事:不動産売却の流れとは?必要書類や契約方法など7つのステップで解説
まとめ
匿名の不動産査定は、営業電話の心配なく気軽に利用できる査定方法です。AI対応のサービスを使えば、即座に最新の相場がわかり、細かい分析情報まで知ることができます。
しかし査定額には不動産の状態までは反映されず、実際の売却価格との誤差が出やすいのも事実です。精度を上げたい人は、不動産会社への査定依頼が必要になるため、名前や電話番号など個人情報を伝える必要性が出てきます。
匿名査定で不動産価格を今すぐ知りたい人は、本記事で紹介したLIFULL HOME’SやHowMa、マンションナビなどを利用してみてください。